西加奈子と今江大地
僕はこの世界に、左足から登場した。
西加奈子さんの小説、『サラバ!』上巻は、主人公のこんな台詞から始まる。
そんな主人公の友人として登場する、“須玖”というキャラクターが居る。
主人公が男子校のサッカー部で出会い、大きな影響を与えるこの“須玖”ついて、どうしても書き留めておきたかった。
須玖くんはサッカーが上手い。中学ではミッドフィルダーを務めていたらしい。休み時間にはジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』を読んでいる。そして何より美少年。そう、須玖くんは主人公曰く、「背は低くてもハンサムだ。」とのことだった。
けれど、須玖くんは決して自分から発信しない。音楽や映画に精通していながら、知識をひけらかすようなこともない。それでいて、たまに発する一言は爆発的に面白い。これも主人公に言わせれば、「須玖はまったく、空気のような奴だった。」のだ。
そんな須玖くんと主人公の間で起こった一つのエピソードが、わたしにある人物を連想させた。
そのエピソードとは、彼らの学年に居たホモセクシュアルの林くんに、須玖くんが好意を寄せられるというものだ。
林くんは学校中から心無い罵声を浴びせられたり、暴力を振るわれたりしていたが、須玖くんだけは普通に接した。
そんな須玖くんに主人公は聞く。
「気持ち悪ない?」と。
すると須玖くんは、「気持ち悪くなんてないで。」「なんやったら、尊敬してるよ。」「自分のしたいこととか思いに、嘘つかずにおるのって、難しいやろ。特に、林のような人らは。」と、泰然と答えるのだ。
言い忘れたが、『サラバ!』の舞台は最初こそイランでスタートするものの、主人公は関西人である。
この関西弁で思い浮かんだのが、今回の記事のタイトルにあるよう関西ジャニーズJr.の今江大地くん、その人だったのだ。
「大根大好き今江大地です!」でお馴染み今江くんは現在21歳、京都府出身、メンバーカラーは緑、身長161cm、funky8に所属する現役大学生である。
正直、今江くんのことはよく知らない。たまにまいジャニで見かけるくらいだ。なのに、わたしには須玖くんが今江くんに思えてしょうがなかった。
何が言いたいのかと言うと、須玖くんの魅力を誰かと共有したいということ。あわよくば今江担に『サラバ!』を読んで欲しいということ。
しかし『サラバ!』上下巻はいかんせん長い。下巻の須玖くんには触れないでおこう。一人でも何となくでもいい、伝わったら嬉しい。
「じゃあ、林に告白されたらどうするん?」
「断るよ。」
「なんて言って?」
「僕は林のことは好きになられへん、て言う。」
男は好きじゃない、とか、そんな趣味じゃない、などと言わない須玖は、やっぱりとてもいい奴だと思った。